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わすれな草、浮かれて

ショート7「音偽話」

りーん。

森の入り口に置かれてある鈴に、
誰かが触れた音であった。

その音は、静かな森の木々に、
次々にぶつかると、あっという間に、
ウサギのところへと渡っていった。

「ん?何だこの形は。。。」

それが辿り着いた頃には、その音は、
金平糖を歪にした形に変化していたのだ。

最初の形を見ているわけではないのだが、
今までやってきた音は、大抵、その中身を露呈し、
それが音だと、直ぐに理解出来るものであったから、
今回は、ウサギの方も、困惑するというものである。

「この音。割るわけにはいかないのか。。。
そうじゃないと、中身が本当に音なのかどうか、
分からないじゃないか。。。」

切り株の上に置いて、ウサギは途方に暮れていた。

カアー。カアー。

「夕景にカラスは、なんて映えるんだろう」

そんな事を思いながら、日は暮れなずみ、
ウサギの心と同調しているようだった。

「ん?そんな時間なのか?」

金平糖の衣を着けた音は、切り株の上で、
いつの間にか、溶け出したようで、
その痕跡だけを、滲みこませていた。

「変だぞ、何かが変だ!
ボクは、まだ、朝ごはんを食べてないぞ!」

ウサギは、几帳面な性格であった。
おもむろに、鎖で繋がれた先に目をやった。

「やっぱり。まだ、朝じゃないか。。。」

懐中時計に刻まれた時間は、確かに朝を示していた。

「ははは。。。バレちゃ仕方がないな。
俺様は、さっきの金平糖の中身だ。
本当の姿はこれだ。お前とは会うこともなかろう」

そう言うと、白い羽を持った鳥は、
本来の真っ青な空へと、その翼を広げ、
山の方へ飛んでいってしまった。

「あの鳥。。。サギじゃないのか。。。」

ググググゥーーー。

空腹の虫が、そろそろ目を覚ます時間であった。
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