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わすれな草、浮かれて

ショート5「沈黙星」

「ここは、美味しいもので、溢れてるんですよ」

ベテランガイドのシンシアは、豊満な胸を、
さらに突き出して、自慢していた。

「そうなんですか。。。」

そう言うのは、何でも懐疑的に物事を捉える癖のある、
太陽系の第三帝国の王子であった。

所謂、お忍びで、地球旅行にやってきたわけだが、
流暢な言葉は、旅なれた、生意気の息も漂わせていた。

「王子、今回の旅の目的は何ですの?」

この言葉は、何処に行っても耳にするので、
正直、うんざりしていたのだが、隣に居る、
お世話係の爺の目線が、鋭いことに気がつくと、
ゆっくりと、シンシアの方に顔を向けた。

シンシアは、プライドも高いのか、
頷くふりだけをすると、ホテルのシェフを呼び、
シェフにお任せ致しますわ!と口早に言った。

「かしこまりました。お任せ下さい。
最高のものをお持ちいたしますから。。。」

深々と頭を下げると、静かに退室していった。

その間、爺は、小声で王子に耳打ちしていた。

「若、先ほど、なんと仰られたのですか?
私は、耳が遠くなったせいか、聞こえませんで。。。」

「いや、僕は何も話していないよ。ただ口を動かしただけさ。
異星人って、こういう時、便利だね。それよりも、
お腹空いたから、早く、食事にしたいな、爺!」

シンシアは、満足げに、こちらを見ている。

「午後から、とっておきの場所に、ご案内しますからね!」

いい香りのスープが運ばれてきた。

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Comment

こんにちわ~
うふふ。読んでますよ~
感想とかは口はばったいので、苦手なんですが、楽しく拝見しています。
海月さんのシニカル(?)な面がショートにはピッタリ!?
原人さんのお話も、椅子が壊れるお話も面白かったです♪

ただ、私の頭が悪いせいか、この沈黙星はぼんやりしか、理解が出来ませんでした~^^;
わはは。すみません。
2012.01.17 15:38 | URL | マダム半世紀 #- [edit]
そして王子は「とっておき」と案内された庭で
にこやかに微笑んで、掌を上に腕を差し出して庭を指すと、

シンシアが満足そうに

「そうでしょう?素晴らしいでしょう?」と

胸を張るのですね。
2012.01.18 04:41 | URL | コツメ #s4XqzZkw [edit]
<To マダム半世紀さん>
ご無沙汰しておりました。
ご訪問、ご感想頂き、ありがとうございます。

シニカルな面を、ネコの額程の厚顔で隠し、
ついでに、可視化できる全てを煙に巻き、
創作していく所存でございます。
これからも、宜しくお願い致します。
2012.01.29 08:43 | URL | 夕野 海月 #GxAO5jdM [edit]
<To コツメさん>
こちらでは、はじめまして。
早速のご感想、ありがとうございます。

そうです。
シンシアは、自己顕示欲も高く、果てしない。
そこには、野望もチラホラ。ふふふ。。。

まっ、王子の方が、何枚も上手ですが^^;

これからも、宜しくお願い致します。
2012.01.29 08:47 | URL | 夕野 海月 #GxAO5jdM [edit]

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